すがる強さを持っていい。 母と並んで手を合わせた伊勢の朝。

すがる強さを持っていい。 母と並んで手を合わせた伊勢の朝。

先日、何度も足を運んでいる大切な場所へ、湧き水を汲みに伊勢まで車を走らせました。今回は伊勢に行く時は連れて行ってほしいと以前から話していた母も一緒です。二人とも今月が誕生月ということもあり、お参りの後の食事では記念写真とケーキをいただく温かいひと幕もありました。

すがるような思いで、何度も手を合わせてきた

私たちは、お正月や旅行のついで、あるいは人生の大きな出来事に直面したときに神社へ足を運びます。私自身、全身にがんが転移したサバイバーとして、かつては本当にすがるような思いで、何度も必死に手を合わせてきました。

「どうか生かしてください」
「助けてください」

病は気からと言いますが、心のあり方はとても大切だと感じています。気持ちだけで病気が治るわけではありません。けれど、前を向こうとする気持ちや、まだ諦めたくないという想いは、苦しい治療を乗り越える力や、生きる支えになることがあります。病気とは文字通り病気と書きます。病肉とも、病体とも書きません。だからこそ、体だけではなく、自分の心を整えることもまた、大切な治療の一つなのではないかと思うのです。

病室の窓から、朝日に向かって

入院中や体調が優れないときは、神社へ行くことすらできません。そんな時は、無理をして出かける必要はありません。家の中からでも、病室のベッドの上からでもいい。好きな神社の方向や、昇る朝日に向かって、そっと手を合わせるだけで十分です。

「大丈夫」
「まだできることがある」
「きっと乗り越えられる」

誰かに言われた言葉ではなく、自分自身に何度も擦り込むように。その時間が、私の心を支えてくれていたように思います。

助けてと素直にすがればいい

自分のことばかりお願いしていいのだろうか。そんなふうに遠慮する必要はありません。余裕がない時、つらい時は、とことん助けてと素直にすがればいい。神様でも、家族でも、友人でも、医療者でも。何かに頼り、願いを言葉にすることは、決して弱さではありません。むしろ、一人で抱え込まないための強さなのだと思います。

助けて、怖い、生きたい。その言葉を、どうか素直に口にしてみる。きっと、その一歩が、少しだけ心を軽くしてくれるはずと考えます。

今、何かにすがりたいほど必死な気持ちを抱えている方がいるなら、どうかその想いを我慢しないでほしいなと思います。

講演家  ニーナヒデヒコ
本名 新名秀彦


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