投げ出すことと、引き受けること。

投げ出すことと、引き受けること。
何かに直面したとき、あきらめるのと受け入れるのは、似ているようで全く違うものだと感じています。諦めと受容は、似ているが違う
かつて膵臓や肝臓への転移が見つかり、強い抗がん剤治療を続けていた頃のことです。副作用で起き上がることもできず、ただベッドとトイレを往復する日々の中で、私の心も体も削られていきました。もうどうにでもなれと放り出してしまうのは、諦めです。それは自分の人生のハンドルを手放して、すべてを投げ出してしまうこと。けれど、今の自分の身体にはこれ以上の抗がん剤は合わないと事実を認めるのは、受容でした。
がんを治すことを、諦めたわけではなかった
私は決して、がんを治すことや生きることを諦めたわけではありませんでした。現在の苦しい状況と、自分の身体の限界を正確に引き受けただけだったのです。現実から目を背けるのをやめたとき、不思議と胸の奥の張り詰めたものが緩みました。そして初めて、じゃあ、ここから何ができるかという次の一歩が見えてきたのです。
投げやりになるのではなく、今の現在地をそのまま引き受けてみる。自分の足元を静かに認めたところから、新しい歩みは始まっていく。
病気や仕事、日々の暮らしの中でも、思い通りにいかない現実に足がすくむ瞬間はあると思います。それでも今日も、自分の足元を静かに見つめながら、一歩ずつ進んでいきます。
講演家 ニーナヒデヒコ
本名 新名秀彦
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