何かを足す前に、削るべきものを決める。引き算から始まった私の選択。

何かを足す前に、削るべきものを決める。引き算から始まった私の選択。
病気になると、人はどうしても足し算をしたくなります。良さそうなサプリメント、新しい治療法、体に良いとされる健康法。あれもこれもと取り入れたくなる気持ちは、痛いほどよく分かります。膵臓転移の告知直後、全身へ転移が広がっていった頃の私もまったく同じでした。
私を救ったのは、足し算ではなく引き算だった
藁をも掴む思いで情報を集め、良かれと思うものを片っ端から試そうとしていました。けれど、心と体が本当に悲鳴を上げていたとき、私を救ったのは足し算ではなく引き算でした。衰弱しきった身体に、これ以上何かを詰め込む余裕はありません。一番必要だったのは、身体を激しく痛めつけていた抗がん剤を止めること。不安を煽るばかりの過剰なネット検索をやめること。そして、まだ起きてもいない未来への余計な心配を手放すことでした。
何かを足す前に、まず削るべきものを決める。不要な重荷を下ろして心と身体に余白を作って初めて、本当に自分に必要なものを選ぶ力が戻ってきました。
引き算の先にある余白から、力は湧いてくる
人生のハンドルを握り直す力は、引き算の先にある余白から湧いてくるのだと思います。迷いや不安で抱えきれなくなったときは、一度立ち止まって、手放せる荷物を探してみる。その小さな引き算が、新しい一歩を踏み出すきっかけになるかもしれません。
講演家 ニーナヒデヒコ
本名 新名秀彦
©︎ 2026 Nina Hidehiko