9年目の桜に、また会えた

9年目の桜に、また会えた

今年もここで、桜に会えた。

新名秀彦  |  2026年春 退院翌日 講演家 がんサバイバー 大腸がん

昨日、退院しました。そして今年も、この桜の下に立っています。

9年前の覚悟

9年前、大腸から始まったがんが、膵臓・小腸・十二指腸・肝臓へと転移したがんの告知を受けました。抗がん剤治療の中で迎えたあの春、桜を見上げながら思っていました。これが、最後の桜になるかもしれない、と。

それでも、また会えた

今回も腸閉塞で入院し、絶食・点滴の日々が続きました。昨年は愛知県がんセンターに寄付をさせてもらい、桜の木の下で写真を撮ってもらいました。今年は病室の窓越しに桜が見えました。どんな冬を越えても花を咲かせるその姿が、逆境に向き合うすべての人と重なって見えました。

9年経った今も、葛藤が消えることはありません。それでも今年も、この景色に戻ってこられた。その事実だけで、胸の奥からこみ上げるものがあります。

講演家として伝え続ける理由

私が新名秀彦として講演の場で語り続けているのは、きれいごとではない、ままならない日常の中にある命の重みを届けたいからです。苦しみや迷いそのものが、誰かの心に寄り添う灯火になると信じています。

来年もまた、この桜の下で深呼吸ができるように。
今はただ、静かにこの春の光を心に刻んでいます。

講演家  新名秀彦