数字の向こうにある今日という現実。

数字の向こうにある今日という現実。

大腸から始まったがんは、膵臓・肝臓・腹膜播種、そして脳へと広がり、かつて医師から余命半年と告げられました。あれから9年。僕は今日もこうして生きています。

数字は、過去の誰かのデータにすぎない

病院へ行くと、生存率や余命といった数字や確率がたくさん出てきます。当時の僕も、そうしたデータを聞くたびに足元が崩れそうな不安に襲われました。けれど、何年も病気と向き合い、命と対話を重ねてきた今、強く感じることがあります。数字や確率は、過去の誰かのデータを集めたものにすぎないということです。統計は現状を知るための目安にはなりますが、その数字がそのまま僕の未来になるわけではありません。誰かのデータと、僕自身の生き方はまったく別物です。

ハンドルを握るのは、いつだって自分

今日という一日をどう生きるか。どんな選択をして目の前の時間を過ごすか。どんなに小さくても自分で選んだ一歩を信じ、命のハンドルを握って行き先を決めるのは、いつだって自分自身なのだと思います。ありがたいことに、家族や友人、ドクターなど、周りの人たちは僕の可能性を信じて支えてくれています。ならば僕は、それ以上に自分自身の力を信じてあげたいと思います。

数字に心を奪われそうになる日もあるかもしれません。そんな時こそ遠くの確率に振り回されず、目の前にある今日という奇跡のような時間を、感謝とともに丁寧に積み重ねていこうと思います。

お盆を過ぎましたが、まだまだ厳しい暑さが続きそうです。みなさんも体調には十分気をつけてお過ごしください。

講演家  ニーナヒデヒコ
本名 新名秀彦