波に揺られたシドニーの海。消えた画面と目の前のクジラ。

波に揺られたシドニーの海。消えた画面と目の前のクジラ。
シドニー5日目。講演をを無事に終えた翌朝、心地よい疲労感とともに目を覚ましました。前夜の懇親会では完全に気が緩んでしまい、先輩方を前に寝ぼけてまったく違う話を口走るという失態を演じましたが、みなさん温かい笑顔で受け止めてくれました。
シドニーを、思いきり楽しもう

午前中にのんびり散歩をして体力を回復させ、ひとりでランチを食べているとき、ふと心のスイッチが入りました。明日の帰国便まで、このシドニーを思いきり楽しんでみよう。朝食をコアラと一緒に食べられるお店は残念ながら満席でしたが、以前から体験したかった上空1000メートルまで上がる気球ツアーを翌朝に予約。そして午後は、ホエールウォッチングへ向かうことにしました。
スマホが突然、沈黙
ところが港へ向かうタクシーの中で、またしてもハプニングが起きます。充電を100パーセントにして出たはずのスマホが、到着直前に突然画面を落とし、まったく動かなくなってしまったのです。初日のトラブルが頭をよぎり、タクシーを降りても何隻もある船のどこへ行けばいいのか分かりません。きっとこの船だと感を働かせ乗船列に並ぶが、予約画面を出せないまま自分の番が近づいてくる。絶体絶命の瞬間、腕のアップルウォッチを思い出しました。急いでメールを開き、表示させたQRコードを提示して無事に乗船。相変わらず綱渡りですが、人生いつもギリギリでなんとかなるものです。
大シケの海と、目の前のクジラ
安堵したのも束の間、出航すると海は大シケでした。激しい揺れで船内にはダウンする人が続出し、現地に着いた頃には甲板に出てこられたのは私を含めてわずか5人ほど。遠くの景色を見つめて心を落ち着かせていると、とてつもなく大きな波が向かってくる。あ、ダメだと悟った瞬間、全身海水を浴びました。そして目の前で巨大なクジラが左右から何度も背面のジャンプを見せてくれました。まるで歓迎してくれているようで、自然の力強さに触れ、胸の奥がじんわりと熱くなる光景でした。

その後はオペラハウスまで歩き、カフェで一息つきながらハーバーブリッジの景色を眺めて夕食を堪能しました。ちなみに夕食中、スマホは不思議なことに何事もなかったかのように復活。なんだったのでしょうか(笑)。
思い通りにいかない出来事や想定外の揺れがあっても、目の前にある景色を面白がる気持ちさえ手放さなければ、どんな時間も前に進む力に変えていけます。
講演家 ニーナヒデヒコ
本名 新名秀彦
©︎ 2026 Nina Hidehiko