深夜2時のチェックアウト。空の上で見上げた景色と、これからの役割。

深夜2時のチェックアウト。空の上で見上げた景色と、これからの役割。

シドニー滞在の最終日は、ずっと体験してみたかった気球ツアーから始まりました。集合時間は深夜2時半。1時に起きて荷物をまとめ、2時過ぎにチェックアウトを済ませると、フロントの方に目を丸くして驚かれましたが、荷物を預けて無事に出発です(笑)。

低空飛行から一気に上昇、そして大草原へ

集合場所から車に揺られて2時間。参加者約20名の中で日本人は僕一人でした。英語の説明はさっぱり聞き取れず、唯一理解できたのはゴンドラ内の立ち位置だけ。それでもテイクオフの瞬間は胸が高鳴りました。最初は低空飛行で少し物足りないなと思っていたら、一気に上昇し始めました。視界いっぱいに広がる大草原、眼下ではカンガルーたちがピョンピョンと跳ね回り、雲の隙間から美しい光が差し込んできます。高さへの恐怖もいつの間にか消え、ただただ穏やかな景色を眺めていました。上空での記念撮影では、英語が聞き取れず景色に心を奪われていた僕は、一人だけまったく違う方向を見ていたのはご愛嬌です(笑)。その後の朝食会では、自己紹介でニーナと名乗ったもののうまく伝わらず、みんなからの呼び名はジャパニーズ(笑)。言葉は通じなくても、同じ空を見上げた仲間と笑い合える時間は心地よいものでした。

台湾からの声と、港の静かな時間

シドニーの街へ戻り、オペラハウス周辺を歩いていると、台湾から大会に参加されていた女性たちのグループから声をかけていただきました。講演したニーナさんですよね、素晴らしかったと。言葉を越えて想いが届いていたことを肌で感じ、胸が熱くなりました。その後は偶然見つけたバンクシー展を鑑賞し、港のカフェでハーバーブリッジを眺めながら、この旅と自分の歩んできた時間を静かに振り返っていました。

ゴールではなく、通過点

かつて余命半年と告げられ、何度も何度ももがき苦しみ、たくさんの経験をしてきました。今こうして生かされていることの喜び、そしてここに辿り着くまで本当に多くの人に助けられてきたのだと、胸の奥底から感謝が込み上げてきます。MDRTグローバル・コンファレンスという舞台に立てたことは、大きな節目になりました。しかし、これはゴールではなく、一つの通過点にすぎません。

僕にはこれからも、がんサバイバーとして発信していく使命があります。やっぱりがんはやっかいだ、結局亡くなるんじゃないかと、今まさに希望を持って行動している人たちの光を奪うわけにはいかないのです。

やりたいこと、やらなければならないことがたくさんあります。最高の8日間の旅を終えて帰路に着きましたが、これからも気負うことなく、自分らしく歩んでいきます。

講演家  ニーナヒデヒコ
本名 新名秀彦